自信を持てなかった私が、幸せの選択肢をデザインする理由

「見たいと思う世界の変化に、あなた自身がなりなさい」

が座右の銘だという、I _ for ME(アイフォーミー) のデザインを担当する野村華花(ノムラハルカ)さん。印象に残る夕日をイメージしたグラデーション、"おかえり"ショーツのシンプルなビジュアル…このデザインにたどり着くまでには、少しずつ自分の殻を破って成長してきた彼女の葛藤がありました。

 【読了目安】5分

写真: S.Wang
聞き手: 江連千佳

目次

  1. 社会に縛られていた私が変わった、ジェンダーとの出会い
  2. デザインで創る、私が見たいと思う世界の変化
  3. 幸せを多様にするデザインに込められた意味
  4. 幸せは、わたしが決めていい

 

社会に縛られていた私が変わった、ジェンダーとの出会い

I _ for MEの野村華花

ずっと自信が持てなかったんです。

私は、社会における女性の像に縛られていたんですよね。「モテなきゃいけない」「男性に認められる自分でいなきゃ」みたいな。髪型とか容姿とか特にそうで、例えば、お化粧変えて、その変化を相手に気づいてもらえないと、勝手に傷付いて悲しくなったり。その時は、自分があるってことを認めるためには、隣にいる男性に認められる必要があったんだと思います。

でも、ジェンダーの知識と出会って、そういう自分に気づいて、変えたいと思った。自分が自信を持てなかったのって、実は社会にも原因があるんじゃないの?って。社会の仕組みが自分をそうさせていることもあるんだってことを知って、環境を変えなきゃって思いました。「女だから〇〇しなきゃいけない」って思っている、自信のない自分を肯定して、次のステップに進んでいくってことができるようになったんですよね。

 

デザインで創る、私が見たいと思う世界の変化

自分は、「こうあるべき」って社会の当たり前に悩んできたから、「他の人には昔の自分みたいになって欲しくない」って思うようになった。「女性だから〇〇しなきゃいけない」って思わせているのは社会だから、その社会を変えれば、過去の私みたいな経験する人が少なくなるんじゃないかなって。

私の座右の銘は、マハトマ・ガンジーの「変えたいと思う世界へ、あなた自身がなりなさい(Be the Change. )」なんです。自分は、デザインの力で世界を変えられるって信じているから、デザインで誰かをエンパワメントして、変化を創り出したいって思いました。一人一人が幸せを選んで、幸せに満ち溢れている世界を、デザインで創りたい。今はみんな規範に縛られているけど、もっと幸せを多様にして、それぞれの幸せを相互理解して、助け合うことができている社会が理想なんです。

"おかえり"ショーツのデザインしてみない?って声がかかったのは、ちょうどそんな時。自分のつくりたい世界を、もっとたくさんの人に広げられるんじゃないかな、って思って取り組むって決めました。

 

幸せを多様にするデザインに込められた意味

< "おかえり"ショーツ初期のデザイン画 >

例えば、"おかえり"ショーツを履くことで、今までのショーツの縛りの存在に気づいてほしくて、今のカタチまでブラッシュアップしました。

"おかえり"ショーツを履くことが、新しい幸せの在り方になって、その人の人生の一部になって欲しい。今まで当たり前だった形のショーツを履いていない自分っていうのが、もう一つの幸せのあり方だって、気づいてもらえたら嬉しいな。それって幸せが多様になっているってことだと思うんですよね。

I _ for MEは、黄昏時、夕日をコンセプトにしてます。夕日を見る時間帯って、自分を内省する時間が生まれると思ってて。そこと、I _ for MEっていうブランドをリンクしてもらえたらいいなって思って創りました。内省の時間ってネガティブになっちゃうと思うんです。でも、I _ for MEは、もっと励ましてくれるというか、あなたは幸せになる価値があるって言ってくれる。ネガティブになるんじゃなくて、I _for MEを思い出してもらうことで、少しでも明日楽しみだなってなってもらえたらいいな。

デザインするときは、こうやって、使う人がどういう気持ちになって欲しいかを考えてますね。だから、使ってくれた人のコメントがやっぱり力になります。

 

幸せは、わたしが決めていい



私は、デザインを通じて、社会の通念というか「こうあるべき」という像を変えていきたい。そして、自分の「幸せ」に気づける人が増えて欲しいなと思ってます。

「幸せ」って一口で言うのは難しいんですけど、自分に合う考え方を探す旅こそが「幸せ」なんじゃないかな。だから、幸せを選択するっていう自己決定感をみんなに持って欲しいと思います。後悔しない自分は、自分で道を決めることで創れるはずです。

そんな皆さんの「幸せ」を探すお手伝いを、人に寄り添うデザインの力を使って、していきたいと思います。